襟元に畳まれた、もう一つの装備。
M-1943フィールドジャケット用のフード単体、Mサイズ。1943年に米陸軍が制式化したM-43ジャケットは、それまでのM-1941ジャケット一枚仕立てを見直し、下に防寒着を重ねる“レイヤードシステム”として設計された一着だ。着る順番まで設計に組み込まれていた。
フードだけが外れる理由
このフードはボタンで襟に着脱する別部品。ヘルメットの上からでも被れるよう大きめに裁断され、顔周りは紐で絞れる。天候によって外す・付けるを選べる柔軟さは、当時としては新しい発想だった——脱ぎ着の自由度という発想自体が、まだ珍しかった時代の話だ。
風を殺す生地
表地はOD色のコットンサテンをリペル加工した防風生地。厚手のウールではなく、あえて軽い綿で風だけを止める設計思想は、後のM-1965ジャケットまで受け継がれていく。軽さの割に、風はよく防ぐ。
単体で残る意味
本体を失ってフードだけが生き残る——放出品にはよくあることだ。それでも縫い目とボタン穴を見れば、どんな上着に付いていたか、経験のある目には見えてくる。





