毒ガスより先に、湿気と戦う袋。
M17ガスマスク用キャリアバッグ、中古品。1959年から採用されたM17シリーズ防護マスクは、ベトナム戦争からその後の冷戦期まで、米軍の標準防護マスクとして長く現役だった。息の長い装備だ。
防水布という一点の工夫
中身のマスクをジャングルの湿気や豪雨から守るため、キャンバスの表面にゴム引き加工が施されている。腰やショルダーで持ち歩く前提の作りは、行軍中も即座に取り出せる位置取りを考えた設計だ。
トンネル戦とガスマスクの需要
ベトナム戦争では、地下トンネルに潜むゲリラを排除するために催涙ガス(CS)が多用された。ガスマスクが単なる防護装備ではなく、実戦で頻繁に袋から取り出される道具だった時代を物語る一点だ。
使われなかった時間の長さ
実際に化学兵器が使用された事例は限られる。それでも常に携行され続けたという事実が、この袋の擦れ具合ひとつにも表れている——備え続けた時間の長さが、そのまま重みになる。






