OD色か、グレーか——色を失った一枚。
サイズ表記のないジャンク品Tシャツ。肩幅約42cm、身幅約42cmとほぼ正方形に近いバランスを持つ一枚だ。色や素材の詳細を示す情報は失われているが、それ自体が一つの手がかりでもある。
二系統あった官給Tシャツ
米軍のTシャツには大きく二つの系統がある。ひとつは戦闘服の下に着る旧来の官給品、ODグリーンの綿インナー。もうひとつは後年のPT(体力訓練)用に定着したグレーのTシャツで、目立たぬことを優先した前者に対し、運動性と識別性を重んじる設計へと方向を変えた後発の系統だった。この一枚がどちらの系譜かは、色褪せた今となっては断定できない。
作りと質感
シミやシワによる汚れがあるが、袖丈約14cmを含めた各部の縫製は崩れておらず、素材の厚みも健在だ。天竺編み特有の伸びと戻りも、まだしっかり残っている。
分からなさもまた記録
正体を特定できないことは、資料としての欠陥ではない。むしろ、色褪せた時間の長さそのものを物語る一枚だ。判別不能になるまで着られ続けた——それこそが、この布が果たした役目の証だろう。







