赤十字はなくとも、命を運ぶ鞄だった。
メディカルバッグ、中古品。米軍実物の迷彩リュックタイプで、程度は中古良品。負傷者への応急処置に必要な資材を素早く取り出せるよう設計された、衛生兵向けの背負い鞄だ。
コンバットメディックという任務
米陸軍・米海兵隊の衛生兵(コンバットメディック、海兵隊では衛生下士官)は、戦闘中の負傷者に真っ先に駆け寄る役割を担う。メディカルバッグの中身は止血帯やガーゼ、点滴セットなど処置の優先順位に沿って区画分けされているのが一般的で、暗闇の中でも手探りで目的の資材を取り出せるよう工夫されている。
迷彩柄という選択
1949年のジュネーブ条約下では衛生要員や医療品への攻撃は禁じられ、本来なら赤十字マークで保護される立場にある。それでも現代の衛生兵が迷彩柄のバッグを背負うのは、マークそのものが標的を招きかねないという戦訓ゆえだ。負傷者の位置を敵に悟らせないため、衛生兵自身も周囲の兵士と同じ迷彩に溶け込む必要がある——皮肉だが、これも生存のための戦術だ。
中身は空でも、区画の仕切りだけで用途が伝わってくる〜派手さのない鞄ほど、現場では頼りにされる。

















