陸軍の朝は、この一本から始まった。
US ARMY トレーニング ショートパンツ——飾りは、ない。米陸軍の基礎訓練や日々のPT(体力訓練)で、1980年代からずっと兵士に配られてきた運動用パンツだ。サイズはXL。綿混の丈夫な生地で仕立てられ、実用一辺倒——それが軍支給品の流儀である。
支給品という発想
米軍被服は個人の好みでなく、支給(イシュー)という考え方で作られる。号数の世界だ。サイズはS・M・LでなくXLのように号数化され、体格差の大きい部隊全員に行き渡るよう幅広く展開された。ショートパンツもその例に漏れず、ウエストゴムと最小限の縫製で量産と耐久性を両立させている。
綿という選択
化繊のPTウェアが主流になる前、こうした綿混のショーツが長らく現場の標準だった。速乾性より丈夫さと通気性を優先した設計は、汗をかく訓練場でこそ真価を発揮する。生地の厚みと縫い目の強さに、当時の耐久基準がそのまま表れている。
地味な一本の記録
流通市場では迷彩服や上着ほど注目されないが、こうした地味な支給品こそ部隊の日常を物語る。地味だが、正直だ。派手さのない一枚に、基礎訓練の汗と規律が染み込んでいる。






