塹壕ひとつ掘るための道具に、これほど工夫が詰まっている。
米軍(US・GI放出品)のフォールディングショベルは、背嚢に括り付けて運べるよう折りたたみ機構を持たせた携帯用の掘削具だ。本品は程度こそ中古品だが、市場にあまり出回らない希少な個体だという。
M-1943から続く折りたたみ機構
第二次大戦中に登場したM-1943型は、それまでの固定式スコップを見直し、蝶番でブレードを畳める構造を採用した。省スペース。背嚢の外側に留めるだけの設計が、歩兵の携行品を一つ増やす発想だ。
掘る・切る・つるはしにもなる
ブレードの角度を変えて固定すれば、鍬のように土を掻くことも、簡易的なつるはしとして使うこともできる仕様だ。一本三役。塹壕掘りだけでなく、野営地の整地や排水溝作りにも重宝された!道具ひとつで複数の作業をこなす発想は、荷物を極限まで減らしたい歩兵の携行思想そのものを体現している。
希少とされる理由
折りたたみ部品は消耗・紛失しやすい——当時の個体がブレードもハンドルも揃って現存する例は少ない。中古であっても部品欠けの無い完全体は、実物として探す価値がある。塗装の剥げ具合や刻印の位置からおおよその製造時期を推測できるのも、この手の道具の面白さだ。












