緑にも茶にも見える色は、錯覚ではなく設計だ。
マルチカム GEN IIIジャケット、LRサイズの未使用品。肩幅約54cm・平置き約69cm・袖丈約62cm。GEN IIIとは米陸軍が2007年前後に導入したECWCS(寒冷地被服システム)第3世代の略称で、このジャケットはそのレイヤーの一枚にあたる。
クライ社が仕込んだ光学的な仕掛け
マルチカムは見る角度によって緑にも茶色にも映り、斑点が基調色を分断して視認を惑わせる。垂直の斑点は草木を、水平のグラデーションは裸地や水面を模しているという設計思想だ。純正生地は可視光だけでなく赤外光の反射率まで計算されており、暗視装置越しの見え方まで作り込まれている。
OCPへの昇格
開発元のクライ社(Crye Precision)によるこのパターンは、2010年にアフガニスタン展開部隊が採用したのを皮切りに評価を広げ、2015年には米陸軍全体の制式迷彩OCP(Operational Camouflage Pattern)として採用された。ジャケット単体としても、砂漠でも山岳でも破綻しにくい万能さは伊達ではない!
未使用品ゆえ、実戦投入前の姿のまま、時間だけが止まっている——タグの糊の匂いすら残っていそうな一着だ。

















