燃える機体から生きて降りるための一枚。
ヘリコプター クルー難燃シャツ、サイズM-R。肩幅44cm、身幅54cm、袖丈61cm、身丈72cm——タグも切られていない新品未使用だ。米陸軍のヘリ搭乗員向けに支給された作業着で、ベトナム戦争期のものと見られる。
墜落と炎への備え
ベトナムでの対ゲリラ戦は、UH-1(ヒューイ)を中心とするヘリボーン作戦が主戦力だった。だが被弾や不時着による墜落は日常で、燃料火災による死傷が深刻な問題になっていた。そこで求められたのが、燃えにくい生地でクルーの体を覆うことだ。
溶けずに炭化する繊維
1960年代後半、デュポン社が開発したアラミド繊維ノーメックスが航空クルー用被服に採用され始める。ナイロンのように熱で溶けて肌に張り付くことがなく、炎に触れると表面が炭化して延焼を防ぐ性質を持つ。この一枚もその流れを汲む難燃素材だ。
未使用のまま残った理由
支給されたものの実戦配備前に終戦を迎えたのか、あるいは倉庫に眠り続けたのか——真相は分からない。タグ付き。折り目もそのまま。今日まで手つかずで残っていること自体が希少なのだ。








