手首の主張は、意外と古い伝統。
シリコン リストバンド、新品未使用。基地の売店や部隊内で配られる類の、ごく小さな身につけ品である。
金属ブレスレットから樹脂バンドへ
手首に部隊や仲間の名を刻んで身につける習慣は、ベトナム戦争期のPOW/MIAブレスレット——捕虜・行方不明兵の名を刻んだ金属製バングル——まで遡る。2004年、慈善団体が配布したシリコン製バンドが世界的に流行し、以後は素材そのものがシリコン樹脂に置き換わっていった。色と刻印だけで所属や支援の意思を示せる、安価で簡便な装身具として基地内でも定着した。
伸びる素材の弱点と強み
シリコンは水にも汗にも強く劣化しにくいが、紫外線に長くさらされると次第に硬化しひび割れていく。未使用のまま残ったこの一本は、まだゴムらしい弾力と艶を保っている——長年、日の当たらない場所に仕舞われていた証拠だろう。
小さな一本の役目
装備というより符牒に近い。誰の手首にあったのか記録は残っていないが——それもまた放出品らしい話であり、小さな一本ほど持ち主の想像を掻き立てる。



