量産される前の装備には、必ず「X」の文字が付いていた。
US M16用 XM3 バイポットケース——試作の証だ。M16ライフルは1960年代、ベトナム戦争を機に米陸軍で採用が始まった自動小銃で、このケースはその銃に装着する二脚(バイポット)を携行するための収納具である。
「X」が意味するもの
米軍の兵器命名規則では、頭に付く「X」は試作・開発段階(エクスペリメンタル)を示す。制式採用前、あるいは限定運用にとどまった装備の多くにこの記号が残っており、XM3もその一つである。
分隊支援火器が無かった時代
M249のような分隊支援機関銃が配備される以前、ベトナム戦争期の米軍は自動小銃による制圧射撃を、通常のライフルに二脚を追加することで補おうとした。バイポットはその試行錯誤の産物だ。
ケースだけが残る理由
バイポット本体は金属部品ゆえに摩耗・紛失しやすい。布製のケースは比較的よく残る——試作段階の装備がどう携行されていたか、その輪郭を伝える数少ない手がかりだ。













