コックピット火災から手を守る、地味だが本気の装備
NOMEX FLIGHT GLOVE、新品。サイズ約31.5cm×9cmのこの手袋は、デュポン社が1960年代に開発した難燃性アラミド繊維「ノーメックス」を使った航空搭乗員用グローブだ。手の甲側をノーメックス、掌側を革(グリップ確保のため山羊革や豚革が使われることが多い)で構成する二層構造——これが定番になっている。
燃えない繊維という発明
ノーメックスは炎に直接触れても燃え広がらず、炭化して自己消火する特性を持つ——ベトナム戦争期以降、米軍のパイロットは高温になりやすいコックピット内での火災リスクに備えた。フライトスーツからグローブまで、ノーメックス製で統一するようになったのだ。
革の掌が果たす役割
難燃性だけでは、操縦桿やスイッチ類の細かい操作に向かない。掌側に革を当てるのは、燃えにくさと引き換えに失われがちな滑りにくさとタッチ感度を補うためだ。基本設計、半世紀近く変わっていない。
地味な手袋の実用度
派手な意匠は無い。だが命に関わる部位を守る道具として、設計は極めて実直だ。新品ゆえに革の質感も硬く、これから使い込まれることのなかった一双である。地味さこそ本気度。




