見た目は地味。中身は命綱だった。
約13cm×約13cm×約11cm。CANISTER CARRIER、新品未使用品だ。この手のキャリアーは、ガスマスクの交換用フィルター缶を携行するためのポーチで、冷戦期の化学兵器脅威を前提に、個人装備一式に組み込まれていた。
NBC防護という考え方
核・生物・化学兵器(NBC)への対処は、冷戦下の欧州正面で特に重視された分野である。M17系やM40系のガスマスクはフィルター缶が消耗品扱いで、予備を身につけておくことが前提だった。CANISTER CARRIERはその予備缶を、いざという時すぐ取り出せる位置に固定しておくための道具だ。
派手さより確実さ
装備としての見栄えはしない。だが、開閉の速さと固定の確実さだけを追求した無骨な作りには、実戦装備らしい説得力がある。飾りが一切無いのは——それだけ用途が切実だったからだろう。
眠ったままの一つ
結局この一つは、誰の腰にも吊るされることなくここまで残った。使われなかった予備、というのも一つの結末である。








