肩に食い込む重さを、二本の帯で受け止める。
US SUSPENDER FIELD PACK、いわゆる米陸軍のM-1956パターン・サスペンダーだ。1956年に制式化されたコットン製のH型ハーネスで、ピストルベルトに水筒や弾薬ポーチを吊るしたときの重量を両肩に分散させる役目を持つ。今回の個体は中古良品、可動域は約50cmから。
ベトナム戦争を支えた縁の下
派手さのない装備だが、1965年から1973年にかけてのベトナム戦争では歩兵の誰もが身につけていた。地味な功労者。ジャングルの湿気と汗にさらされ続けても千切れないコットンダックの織りは、当時の物量戦を支えた縁の下の力持ちと言っていい。
H型という設計の意味
背中でクロスする二本のストラップ(H型)が荷重を分散し、片方の肩だけに負担が集まらない構造になっている。腰のベルトだけで装備を支えようとすれば、長時間の行軍で腰を痛める——だからこそこの吊り帯が要る。
やがてナイロンへ
コットン製のこのサスペンダーは、1967年以降ジャングル向けの速乾性ナイロン製へと徐々に置き換えられていく。世代交代だ。今こうして残っているコットン版は、装備の世代交代を物語る過渡期の証人でもある。









