開けられることのなかった、応急の備え。
米軍放出品、未開封のバンテージ(包帯)。封を切られた形跡は、どこにもない。
戦場の応急処置キット
米陸軍の個人携行医療品は、第二次大戦期の圧迫包帯(コンプレッションバンデージ)から現代の止血帯まで、一貫して進化を続けてきた分野だ。バンテージはその中でも最も基本的な装備で、出血部位を圧迫・固定する用途に使われる。1940年代の型式から、構造の基本は大きく変わっていない!ベトナム戦争でも、この形の包帯が衛生兵の鞄に詰まっていた。
真空パックという保存法
未開封で残っている個体は、清潔さを保つための密封包装が功を奏した結果だ。包装フィルムには片手でも開封できるよう切り込みが入っているものが多い。負傷した本人が自分で処置することまで想定した設計になっている——この一手間が、戦場では命を分けた。
使われなかった安心
医療品は使われないことこそが一番の幸運だ。未開封のまま今日まで残ったこの一巻は、誰かの「もしも」を支え続けた末に、一度も出番のなかった装備品ということになる。




