封を切られないまま届いた一本。
ドレスベルト、バックル無し、未開封。ビニールに包まれたままの状態で、一度も外気に触れていない礼装用の帯だ。
倉庫に眠っていた期間
米陸軍(GI)の被服は、需要を見込んで大量に生産・備蓄される。1970年代から80年代にかけて調達された礼装用被服の一部は、基地の補給倉庫に長期保管されたまま出番がなく、のちに払い下げ市場に流れることも珍しくない——未開封というコンディションは、まさにその典型だ。需要予測が外れれば、荷は開かれることなく倉庫の奥へ回された。
パッケージという証拠
袋や紙帯そのものが、当時の梱包規格を示す資料になる。中身より先に、包み方の変遷を教えてくれることもある——ラベルの書体一つにも、時代の空気が残る。
開ける決断
封を切れば、この未使用という価値は二度と戻らない。だからこそ、今はまだこのままにしておく——開けるかどうかは、次の持ち主に委ねたい。判断を先送りする、それも一つの誠実さだ。





