顎に食い込む、たった一本の革紐。
M1・M2ヘルメット用チンストラップ、中古品。1941年に制式化されたM1スチールヘルメットは、1985年にPASGTへ更新されるまで実に44年間、米陸軍と海兵隊の頭部を守り続けた。長い現役期間だ。
帯革が受け止める衝撃
ヘルメット自体は鉄の外殻とライナーの二重構造だが、それを頭に固定するのはこの一本のストラップだけ。走る、伏せる、匍匐する——どんな動きでもズレないよう、革とバックルの摩擦だけで支える設計だ。
M2との違いは“落ちない”工夫
空挺部隊向けのM2ライナーでは、通常のチンストラップに加えてA字型のストラップで顎全体を包み込む方式が採られた。落下傘降下時の衝撃でヘルメットが吹き飛ばないようにするための改良だった。落下傘部隊の装備は、通常型より一段階、固定の思想が強い。
消耗品ゆえに残りにくい
革紐は千切れ、劣化し、真っ先に交換される部品。今日まで形をとどめているだけで、実は十分に価値のある残存品だ——革はモノを言う。





