荷重を肩へ逃がす、たったそれだけの仕事に徹した一本。
コットンサスペンダー、中古良品。米陸軍放出品で、腰のピストルベルトに取り付けて使う、Y字形の吊りバンドだ。
重さは腰だけでは支えきれない
水筒、弾倉、応急キット——ピストルベルトに装備を足していくと、あっという間に腰回りだけでは支えきれない重さになる。サスペンダーはその荷重の一部を肩へ逃がすための、いたってシンプルな道具だ。1本の帯が背中でY字に交差するだけ、単純な構造ほど故障しない。
コットンという選択の重み
ナイロン製のLC-1サスペンダーに切り替わる1973年より前は、こうした厚手のコットンキャンバス地が主流だった。伸縮性はほぼゼロ、その代わり型崩れしにくく、長時間背負っても伸びてこない。実用一辺倒の素材選びだ。
使われてこそ、の一本
新品のまま眠っていたものより、実際に使われてくたびれた個体の方が、この手の装備は雄弁だ。生地の柔らかさに、当時の行軍の距離がそのまま刻まれている気がしてくる〜




