戦場の応急処置キット最重要品。ねじって締める、それだけで命をつなぐ道具
黒いベルトに一本の棒。見た目は地味だが、これは戦傷者の生死を分けるとされる道具、C.A.T.(Combat Application Tourniquet)と呼ばれる止血帯だ。米軍をはじめ各国の軍隊や消防・救急の現場でも標準装備として扱われている。
戦傷医療を変えた発想
四肢からの出血は戦場での死因として長らく上位を占めてきた。従来のロープや布を使った即席の止血は圧力が不安定で、締め直しにも手間がかかっていたが、C.A.T.はベルクロの締結バンドと「ウインドラス」と呼ばれる硬質の棒を組み合わせ、片手でも素早く強い圧力をかけられるよう設計されている。イラク・アフガニスタンでの実戦運用を経て改良が重ねられ、現在の米軍標準の個人携行救急品(IFAK)にも必ず含まれる存在になった。
使い方はシンプルに
負傷箇所より心臓に近い位置にベルトを巻き付けてベルクロで固定し、ウインドラス棒を回転させて締め上げる。血が止まったところで棒をクリップに固定し、白いタグに使用開始時刻を書き込む——これが基本の手順だ。この個体のタグにも記入欄が残っており、実際に訓練や携行で使われていた痕跡がうかがえる。
ロット表示が示す製造時期
帯の内側には「LOT DEC 15 2010」の印字があり、2010年12月製造のロットであることがわかる。米軍放出品としては中古良品の状態で、ベルクロの効きも実用に耐えるレベル。医療用品としての使用は推奨されないが、装備の実物資料としての価値は高い一点だ。






