寒さと戦うために、あえて太くつくられたシルエット。
裏地のタグには「TROUSERS, SHELL, FIELD, M-1951」の刻印。1951年に制式化されたフィールドパンツの、シェル(外側)にあたる一本だ。仕立てはJ.C. LANKFORD & SONS社、生産日は1963年4月25日。パターン制定日は1952年12月11日とあり、朝鮮戦争期に生まれた設計が、ベトナム戦争の時代まで作られ続けていたことがわかる。
「シェル」というレイヤー構造
タグにはさらに「WEAR OVER TROUSERS, FIELD, WOOL, AS THE OUTER GARMENT COMBINATION IN THE COLD-WET UNIFORM」との一文。つまりこのパンツは単体ではなく、ウール製のインナートラウザースの上から重ね着する「外側シェル」として設計されている。寒冷地・湿潤地向けの重ね着システムの一部だったわけだ。
太めのシルエットが語る用途
M-65パンツと比べるとゆったりとした太めのシルエットが特徴。これはライナーを仕込む前提の防寒設計であり、細身に見せるための裁断ではない。フラップ付きのサイドポケット・バックポケット、モモ部のボタン留めフラップ、ウエストアジャスターなど、野戦での実用性を積み上げたディテールが随所に見られる。
M-51ジャケットと並ぶ存在感
同時期に採用されたM-51ジャケットと組み合わせて着用されることの多かった一本。近年はM-65パンツよりも流通量が少なく、古着市場でも見かける機会が減ってきている。サスペンダーの併用も可能な作りで、実用と資料性を兼ね備えたヴィンテージミリタリーの好例と言える。







