通気孔の並びが、火の呼吸を整える。
カップの下半分をぐるりと囲む、丸い通気孔の列。米軍のキャンティーンカップと組み合わせて使う湯沸かしスタンドは、この穴の並びひとつにも実用の理屈が詰まっている。
穴が生む対流
スタンド下部から取り込んだ空気が側面の穴を抜けて上昇することで、内部の固形燃料や小枝が安定して燃え続ける仕組み。ただ囲うだけでなく、風を通しながら熱を逃さない絶妙なバランスで設計されているのがわかる。カップ側の刻印には「US 89」の文字が読み取れ、1989年前後の製造とうかがえる。
ラベルが明かす調達情報
付属のパッケージラベルにはNSN 8465-01-250-3632、FSCM(製造者コード)6X214、契約番号DLA100-88-C-4109の記載。国防兵站局(DLA)を通じて標準化・大量調達されていた米軍装備の典型的な管理体系が、そのまま紙一枚に凝縮されている。
手のひらサイズの野戦キッチン
カップとスタンドを組み合わせれば、それだけで湯を沸かせる簡易ストーブの完成。表面の経年の変色は使い込まれた証であり、実際に野営地で湯気を上げていたであろう情景が目に浮かぶ一品だ。






