名前を刺繍で刻む、持ち主がいた証拠のジャケット
「TODD」——胸元に白糸で縫い付けられたネームテープが、この一着がどこかの誰かの私物だったことを静かに物語る。
甲板作業を意識した黒
漆黒のコットン生地に、風を防ぐリブ編みの裾と袖口。襟を立てて留められるデザインは、屋外作業や夜間の警備任務を意識した作りだ。米軍のユーティリティージャケットは部隊や配属先によって細部が異なるが、共通するのは装飾を削ぎ落とした実用一辺倒のシルエットである。
ネームテープという個人史
米軍の被服は基本的に官給品でありながら、着用者の名前をテープに刺繍して縫い付ける慣習がある。これにより同じジャケットでも「誰の私物だったか」がわかるようになっており、放出品店に並ぶ一枚一枚が、名も知らぬ誰かの勤務の記録でもある。TODDという名の持ち主がどんな任務に就いていたのかは分からないが、袖のキズひとつにもその痕跡が刻まれている。
実物ならではの風合い
洗い込まれてこなれた生地の質感は、新品のレプリカでは出せない味わい。カジュアルなブルゾンとして着回しやすく、名入りジャケットという一点物の面白さも含めて、ミリタリー古着好きには見逃せない一着だ。






